8時前に着く。シャロが起きる前。起きた時にそこに居られてよかった!
熱が引いているけれど、精神状態はよくない。
カーテンを開けた。この辺りは夜暗くて、星がよく見える。夜に来るたびシャロに見せたいと思っていた。今はもう明るいけれど・・・病院は高台にあって、それなりに景色がいい。
シャロは久しぶりの景色に見入っていた。長いこと無言で見つめ続けている。そしてぽつぽつと、
「(空の雲)コムギちゃん(知り合いのうちの犬)の形ね」
「あれはおじいちゃんおばあちゃんの家かな」
ご飯を食べようと誘っても「もっとお外見ていたいの」と外を見続けている。
ここまで、暴れるために歯ブラシなどもできなかったらしい。言うことを聞かせるため、「歯ブラシしないとママ帰らなきゃいけなくなっちゃう」と言って後悔した。
点滴のためグルグル巻きにされた手で泣きながら私の手をつかんで「帰んないで」と泣く。
なんとか言い聞かせて、久しぶりの歯磨き、髪のブラッシング、着替えなどをした。服を着替えさせようとすると、注射の跡を隠そうとする。
管は刺さったままだけれど、点滴自体は外れたし、熱も下がったので病室から出られるようになった。一緒に本を借りて何冊も読んだ。シャロはずーーっと私の膝の上にいる。
思えば、こんな2人きりの時間を願っていたんだよな。
Be careful what you wish for
何を望むか注意しろ、って言葉がある。確かに願ってたけれど、こんな形じゃなかったんだけどな。
とはいっても、2人きりでとてもいい時間が過ごせた。
「もういろんな先生と会ったよ。もう充分だよ」
こないだ私が泣いたからか、遠慮がちに言ってくる。
私もシャロももっと強くならなきゃダメだと思う。
シャロと塗り絵をしていたら、11時頃に夫から助けてメール。
「あのね、パパがね、シャロちゃんに会いたいって泣いてるの。だからパパ呼んできていい?ちょっと出かけてきていいかな。」
シャロはあきらめたように、素早く片目の涙を拭くと、塗り絵から目を離さないまま頷く。
パパが着いてから昼寝したが、怖い夢を見たのか、「いやだいやだ!」と暴れながら目を覚ましたという。
それを聞いて私は母に助けてほしいとメールした。母はすぐに来てくれて、夫と交代する間の空き時間を埋めてくれた。本当にありがたい・・・
シャロは食事を何も食べなかったそうだ。
20時半、私が行く。22時半に眠る。
ルイが泣いているとのメールを見て必死に走ってタクシーに乗ったのに、家はまたしても平和だった・・・・