牙を抜かれた主婦の絵日記

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【読書備忘録】自分の遺伝子を知る必要性を痛感 Inheritance

Inheritanceというノンフィクションを読みました。

Inheritance: How Our Genes Change Our Lives, and Our Lives Change Our Genes

長年遺伝子研究をしてきた博士が紹介するコネタ集といいましょうか。

ネタはたくさんあるのですが、たとえばこのような特徴があるとこのような病気の可能性が…と言ったことが書いてあるので、気軽に紹介しにくいものがあります。

作者であるモアレム博士によると、ほとんどの人が、案外生涯気づくこともなく、何かしらの遺伝病や変異を抱えているのだそうです。
それは命に影響がある重大なものから、ちょっと変わった体質、という程度のものまでさまざま…そしてその遺伝的特徴が身体に現れることもあり、博士は外見で気づくこともあるのだとか。

「この人、●●だろうなあ。●●すれば、すごく改善するのになあ」なんてことを思いながら、むやみに伝えることができず、ヤキモキしながら過ごしているそうです。

一般的な健康情報があなたに合うとは限らない

この本では、一般的な健康アドバイスが自分に当てはまると思い込んではいけない、ということが繰り返し書かれています。

例えば、DHAでひどく太ってしまう体質の人がいたり、野菜が体に合わない人がいたりするのだそうです。

ビタミンCや葉酸なども、規定量よりも大量に必要な人もいるそうで。

自分の遺伝情報を知る重要性

自分の遺伝情報を知ると、様々なことに役立ちます。

例えば、自分に本当にあったダイエットや健康管理方法がわかったり。
なりやすい病気がわかったり。
自分は発症していないけれど、子孫に遺伝するかもしれない病気がわかったり。

ですが、簡単に調べられない、という人は、食生活と病気の可能性については自分の祖先のことを知るのが一番簡単だそうです。

祖先が食べていたものを食べる

食による健康管理に関しては、直近の祖先が食べていたものを中心に食べるのが安全、と博士は言っています。

実は人間は案外早く進化するようで。

チョモランマ近辺に住む高度にあるシェルパの村は、コロンブスの頃にできたと考えられていますが、住民たちは、環境にかかわらず血液が充分な酸素を運べるように進化しているそうです。要するに、人間は5〜600年以内に環境に適合して進化できるようなので、自分の5〜600年以内のご先祖様と同じ暮らしをしているのが、自分の持っている遺伝子に適した環境・食だと考えられます。

性別が2つしかないというのは思い込み

性別はXYか、XX、どちらかしかない、というのが自分の中で強い思い込みとしてあったことに気づかされました。
過去に、XXY遺伝子の女性がオリンピックで女性枠で出場してよいのかが議論されたことがあるという話は聞いたことがあったのですが・・・

ここでは一切Y遺伝子を持たないにもかかわらず男性化したXX遺伝子保有者の話が紹介されていました。

さらに、体内でアドレナリンが大量に放出されテストステロンが増えて男性化するケースなども紹介されており(こうなりやすい遺伝子は一般的に言われる「人種」によっては30人に1人が保有しているそうです)、
要するに、これまで性別はXY遺伝子だけが決めるシンプルなものだと考えられていたのですが、
実際にはもっと多くの遺伝子がかかわっているようだ、という話でした。

タバコはほんとにほんとに怖い

遺伝子は生まれた時から決まっているわけじゃない。活動などによって変異していく。一卵性双生児も、最近では「identical(まったく同じ) twins」とは呼ばなくなったんだそうです。
そして遺伝子を変えるものの1つはタバコ。喫煙者の10人に1人が肺がんになる。博士の言葉を借りるなら、「ロシアンルーレットをしているようなもの」だって。怖いですね。
ちなみに喫煙しているとカフェインの分解が早くなるんだそうです。

他にも、ポテトチップスなども怖いものの1つとして紹介されていました。でもやめられない・・・

逆に、緑茶の成分を乳癌に投与したところ、癌細胞がアポトーシスを起こし、死滅しなかったものも成長が鈍化したそうです。

これもすべて個人個人の持っている遺伝で違うっていう話なんでしょうが。

 ではこの本で拾ってきたコネタなど・・・

・他の霊長類はどれも24の染色体をもつ。サルの染色体の2つがくっついたのが人間。2番目に大きい染色体は、実は2つがくっついたもの。

・高山のシェルパたちのように、生まれつきドーピング状態(血液が大量の酸素を運べる)の遺伝子を持つ人たちがいる。そしてオリンピックですばらしい記録を残していたりする。

・トラウマも遺伝するということがわかっている。
実験で、母親と引き離したマウスはすぐに諦める性質を身に着けた。その性質は子孫に受け継がれた。
911の時妊娠後期だった女性から生まれた子供たちはストレスを感じやすいらしい。

・イタリアの山中で見つかったアイスマン(5,300年前の人)はサルディニアとコルシカの人々と最も遺伝的に近い。茶色い目をし、O型で、乳製品アレルギーだった。

・多くの哺乳類は体内でビタミンCを生成できる。ギニーピッグと人間はできない。

 以下、自分用備忘録

ラロン症候群
身長が伸びない。ほとんど癌にならない。これは体の中で正常に成長ホルモンが働かないためだが、
このことから子供に成長ホルモンを投与することに疑問を感じている医師もいる。
100歳の遺伝子 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

サプリがあまりおすすめできない理由
市販されているビタミンEは8種類あり、うち人間が食べる食品の中に実際に含まれるのは1つだけ。
市販のビタミンEは自然なビタミンEの吸収を阻害することがある。

左利き
利き手と利き足が同じとは限らない。階段を上り始める足がたいてい利き足。
未熟児に左利きの割合が多い。
難読症、統合失調症、ADHD、乳癌などの発症率の高さと関りがある。
だが、一卵性双生児ですら利き手が違うことがあり、もしかすると、発現率が50%の劣性遺伝があるかもしれないと考えられている。

妊娠中の飲酒の胎児への影響
右耳が聞こえにくくなったり、聞き取りが苦手になったり、左脳活動が影響を受けやすい。

妊娠中の葉酸
妊娠中の葉酸の必要度は人によって違うため、とにかく摂るようにとしかアドバイスできない。最初の28日間が重要。葉酸はNTDのほか、早産、心臓病、もしかすると自閉症にもかかわっている。

コラーゲン生成しにくい体質(OI)
白目が青っぽい・歯の先が透明がかっているなどの特徴がある。骨が折れやすい。(でも貧血などでも白目は青っぽくなるらしい)

おススメ度は星4ってところ

なかなかおもしろくてどんどん読み進めてしまいましたが、
実際にすぐに役立つ知識・・・が豊富というわけではありませんでした。
あんまり関係なさそうに感じる博士の個人的体験でページ稼ぎされているように感じる個所もあるし・・・。

ところでこの博士、ちょくちょく間違ってる日本知識を披露する。

自分の体験も交えてわかりやすく解説してくれるのだが、『富士山の山小屋で「inemuri」をするつもりであった。inemuriとは短い睡眠のことである。』

あってるけどダメェ!みたいな。

 アポトーシスのことを『細胞セップク』とか呼んじゃうし。純粋日本人としては大混乱ですよ。

『まるで鶏むね肉をさばき鉄板焼きで焼くジャパニーズシェフがごとく』っていう説明のところもイメージ沸きにく過ぎて手が止まったわ。