吠える主婦の絵日記

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映画版レ・ミゼラブルの残念だった3つの点【ネタバレあり】

レ・ミゼラブルが大好きです。

とは言っても原作は長々と続くファンティーンの青春のくだりで挫折しました。好きなのはミュージカル。映画版はもう5回くらい見ちゃいました。

でも映画版、いくつか残念だったところがあるのです。例えば和訳のエポニーヌのセリフ回し。「〜なのさ」みたいな言い方は蓮っ葉で、彼女の高貴な内面を表現できない。かといって他の言い回しだと説得力がなくなる。日本語は便利になりすぎて逆に不便よね。
それ以外にも映画で改変されていて残念なところがいくつかあります。その1つはエンディング。

ミュージカル版と映画版のエンディングの違い

私が見たミュージカルでは、ジャン・バルジャンの最期に迎えに来たのは、神父とファンティーンではなく、エポニーヌとファンティーンだったんです。

彼とほとんど接点のないエポニーヌが迎えに来ることで、視聴者はこの物語の主題について深く考えるようになると思うんです。

そして気づくと思うんです。3人の共通点。

彼らは劇中、ただシンプルに人を愛して、その人のために自分の生命を投げうった登場人物です。

他にも、この重要な気づきに邪魔になる変更点が映画版にはあると思うのです:
1つは、エポニーヌがマリウスから手紙を隠してしまう点。
2つ目はファンティーンの配役。

「バカ」じゃないといけない2人の登場人物

「シンプル(simple)」。この言葉は、時に、「バカ」という意味でも使われる。難しいことを考えない、という意味でシンプル→バカ、なんですが、ファンティーンとエポニーヌがまさにこれ。

嫉妬したり、深く考えたりせず、ただ愛してその人を無邪気に喜ばせようとし続けた。

ミュージカル版のエポニーヌはもっとまっすぐにマリウスに請われるままに手紙を届けていた。

ファンティーンは、平たく言えば自分を捨てる男との間に未婚の子供を作って、しかも安易な考えでその子をテナルディエ家に預けてしまう、ちょいおバカさん。でも重要なのは、シンプルな彼女でも愛の力で常人ならざる強さを身に着けていたということ。

だけど、何度もアップになるアン・ハサウェイの顔は知的で強い。最初から普通じゃなくて素晴らしい存在の彼女ならば、強さを持っていて当然のように思えてしまう。ファンティーン役にはもっと、きれいだけどパッとしない、どこかぼんやりした感じの女性にしてほしかったな。

映画はより万人受けするためシンプルにする必要があったのだと思うけれど、大事なメッセージが抜け落ちてしまったようで残念。

ジャン・バルジャンとジャベールの対比

この物語の重要なメッセージを伝えるのに重要なもう1人の登場人物が、ジャベール。ジャベールとジャン・バルジャンは対比になっていると思う。

エポニーヌとファンティーンに迎えられ神のもとへと向かうジャン・バルジャン、一方ジャベールは落ちて地獄の入り口のような渦に飲み込まれていく。ミュージカルでも、ジャベールは渦の中に飲み込まれていくような演出になっている。

ジャン・バルジャンは神の意志を愛と解釈した。ジャベールは法であると解釈し、冷徹にただ法を守った。その結果、ジャン・バルジャンは天に召され、ジャベールは暗い渦に飲み込まれていった。

映画のジャベールは、死んだ子供に勲章を与えたりして、ちょっと生暖かい。でも、この描写は、ジャベールの哲学を表現するために不要だったと思う。

ただシンプルに愛す幸福

これら3点の変更によって、おそらくこの物語のテーマである「ただシンプルに誰かを愛すことが幸福そのもの」ということが薄れてしまうと思うのです。

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