牙を抜かれた主婦の絵日記

育児マンガとどうしようもない独り言。お気軽にコメントください!

「イヴの7人の娘たち」「DNA USA」「The Nature of the Beast」3冊書評

最近ブライアン・サイクスにハマって、連続で3冊読んでしまった。

イヴの7人の娘たち

ミトコンドリアは女性からのみ子孫に伝えられる。ミトコンドリアを見ることにより、その人の母系の歴史がわかる。

ブライアン・サイクス博士はミトコンドリアを解析し、ポリネシアの人々がどのように移動してきたかを明かした。アメリカ大陸から渡ってきたという説を否定し論争に終止符を打ったのだ。
研究により、ヨーロッパ人は7人のいずれかの女性の血を引いていることがわかった。

この本は小ネタの宝庫だった。例えば:
ノルウェーから北スコットランドの港町にしばし、朝鮮系のミトコンドリアを持つ人がいる。北の漁師が遠くの港で恋をしたのだろうか。
・アフリカから抜け出した人類はごく少数だった。すべての非アフリカ人が、博士がララと名付けた女性を祖先に持つ。私たちの全員の共通の祖先がララと言う女性なのだ。

この本の重要なテーマの1つが、どのように遺伝子解析の技術が発展してきたかということ。研究者の文化、またライバルとの協力や確執にも触れており、これから進路を決める子供は「研究者ってこういうものか」と理解するのにいい一冊だと思う。

イヴの七人の娘たち (ヴィレッジブックス N サ 1-1)

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DNA USA

ネイティブアメリカンはどこから来たのか。ヨーロッパのどの地域から来た人たちがいつどの地域の人たちと結婚していったのか。黒人の祖先はアフリカのどのあたりから来たのか。

遺伝情報を見ると、自分の遺伝子のどの割合が、そしてどの部分がどの大陸から来たかがわかる。完全に白人に見えても様々な大陸の遺伝子が混ざっていることが多く、博士自身、アフリカ系の遺伝子もアジア系の遺伝子も持っていた。自分は100%白人だと思っていた人が、たとえば鼻に関する機能はアフリカ大陸からきた遺伝子だったということが判明したりする。

1滴でもアフリカ系の血が入っていたら「黒人」とみなした歴史のある南部の人のほとんどが、実は「黒人」だった事実などが明かされる。

今回は遺伝子だけではなく、アメリカの文化とタブーにも踏み込んでいる。ネイティブアメリカンの特権とその矛盾に関するところはおもしろかった。

結局、この世に「人種」なんて存在しないということが、よぅくわかる1冊だった。

博士は現在日本の研究をしているという。

Bryan Sykes - Wikipedia, the free encyclopedia

とうとう日本人がどこから来たのか論争に終止符がうたれるのだろうか?

DNA USA: A Genetic Portrait of America

 The Nature of the Beast

博士がイエティ・雪男の存在を真剣に探した研究結果。

世界中の未確認生物と言われる毛の遺伝子解析をした。予想通り、結局クマやシカだったなど、月並みな結果がほとんどだが…いくつか、驚きもあって、追加の研究がなされているそうで、期待したい。

こちらの記事でも少し触れています:

fmkn.hatenablog.com

 UFOや超能力などの研究にも言えることだが、それらが真剣に1つの学問として扱われるようになるために何が足りないか、どうしたらよいかなどが書かれているので、超常現象系を真剣に研究したい人は必読。
ちなみに、未確認生物の毛などを発見した場合、やみくもに近くの研究機関に送ってはいけない、と博士は言う。その研究機関が関心を持っている分野とは限らないし、解析するための資金があるとも限らない。
顕微鏡でのぞいて適当な結果を返されてしまうことも多い。資料をなくされてしまうこともある。必ず、どのような解析を行っている研究機関なのかよく調べるべき、とのこと。

The Nature of the Beast: The first genetic evidence on the survival of apemen, yeti, bigfoot and other mysterious creatures into modern times (English Edition)