※あくまで個人の感想です
※似せる気ありません(諸々のげんかい)
オペラ座の怪人って、大きく分けて、お父さん系ファントムと、イケメン系ファントムに分かれると思うんです。
そして、舞台の面白いところって、役者が変わることによって、微妙に話が変わってきてしまうところだと思うのですが、
イケメン系ファントムの時はもう、戸田さんに教えてもらうまでもなく
「あなたにも惹かれてた」 になっちゃうと思うんですよね。
もうラミンファントムとか、片側が醜いくらいでなんぼのもんやねん・・・って正直ね・・・
そんなにひねくれるのおかしくない?みたいな。性格はわるいよね?みたいな。
で、お父さん系ファントムの時は、クリスティーヌは父の姿を重ねる
幼い娘のまま物語が進行していくように見えると思うのですよ。
その彼女が恋人と去っていく時が彼女の成長物語みたいな。
ところで私が見た時のファントムなんですが、
ブロードウェー最長ファントム(更新してないよね??)ハワード=マクギリンでした。
このファントムがもう
まさに、気高き妖怪って感じで。
仮面を奪われて顔を隠しながら逃げる動作なんて
背中丸めてカサカサカサーって。
ゴキブリみたいな動きすんの。
そんでいきなり取り繕って背筋伸ばして「HAHAHAHAHAHA」みたいになって、
ああ、いるいるこういうコミュ障
って感じ。
それで、このファントムだと、クリスティーヌがストーリーの中盤から大人びる。
震えながらうずくまるファントムの背中を見つめる姿に、
同情と侮蔑が入り混じるように見えるんですわ。
そして仮面を渡してあげた時には彼女はもう、同格というか。
娘とか生徒とかじゃなくて、もう対等の関係に感じられるの。
でも、それでこそこの役者の時の解釈がおもしろくなってくるわけでして。
2人の関係が、保護者と弱い娘でも恋人でもなくて、
「ともに芸術の極みを目指す同志」 的な色合いが濃くなってくるの。
そうすると、最後のセリフ「あなたは1人じゃない」
の意味が変わってくるように思うわけですよ。
「あなたにも惹かれていた」という平たい解釈をしたくなるイケメン系ファントムから一変して
という意味での「1人じゃない」
に感じられたわけなのですわ。
だからこそファントムは彼女を手放すことができたという。
なぜなら2人にとって、それはある意味一生を共にすることよりも重要で尊いことだから。
そして、私が見たファントム。
たまたま最前列で見ることができて、表情とかもバッチリだったんですが。
最後の表情。
これがまた。
もう心臓ぎゅーーーーってなったわ。
めっさ怯えた、慌てた、かわいそうな顔しやがったの。
クリスティーヌの前でなんとか威厳を保った彼が、
元の暗闇に救う、哀れな妖怪に戻った瞬間だったの。
すっかり映画のお陰かイケメンファントムが定着しちゃったような気がするけれど、
こういうファントムを演じてくれる役者のものがまた見たいなあ。