牙を抜かれた主婦の絵日記

育児マンガとどうしようもない独り言。お気軽にコメントください!

炎の画家ゴヤがぐうかっこいい

絵画の良し悪しはよくわからんけど、歴史や画家の生涯と合わせて見ると少なくともおもしろい。

マイブームがゴヤ。上から見ても下から見てもかっこいいオッサンだ。
行動から、絵画から、こみ上げるような怒りが伝わってくる。

裸のマハからしてかっこいい

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ゴヤっちゅうたら『裸のマハ』。
優美な絵画。ある意味ありきたりでもある。
っつうか鳩胸すぎる。まあいいか。

しかしこの絵画1つとってもゴヤの炎のオッサンぶりがうかがえる。

裸のマハと対をなす、『着衣のマハ』っちゅう絵がある。
同じ構図、同じ女性。ただ1つは着衣でもう1つはすっぽんぽん。

当時、厳しいカトリックだったスペインでは、裸の絵画を飾るなんて言語道断だった。
けど何かな。
法を犯しても裸を飾りたい人はいるもので。

この絵画は普段は裸の方が表に出ていて、
お上がきたらくるん、と回して着衣の方を出せるようになっているそうな。

この絵が見つかり、ゴヤは異端審問にかけられ(裸の絵を画いたら異端者扱い!)誰に依頼されて画いたのかと問い詰められたが、
とうとう口を割らなかった。炎のオッサンなのだ。

ちなみに、この絵画のモデルが、ゴヤと関係があったとされるアルバ侯爵夫人だと言われている。
アルバ家っちゅうたら今も名門中の名門らしくて、
祖先が裸でモデルしたなんて認めたくなくて大揉めなんだそうよ。

聾者の家が兎にも角にもすごい

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暗い目、歪んだ顔、歪んだ儀式。

聴力を失ったゴヤがひっそりと暮らした家の壁には、
暗いタッチで大量の絵が描かれていた。

まるで生きながらにして幽霊になった人々。
あまり動きがない絵からも、弾圧に対する怒りが渦巻いているような。

この当時のスペインは厳しい異端審問、その後にはナポレオンの侵攻と泥沼の独立戦争を経験した。
絵画は優美で美しく、いい時代を切り取ったものが多いけれど、
これこそがこの時代の人々の本当の表情だったのではないかと、やたらと説得力がある。

ちなみに、大塚国際美術館では、 聾者の家の再現した様子が見られるそうだよ。
もう絶対に行きたい。

権力にも逆らいまくり

ゴヤさんは宮廷画家だったので、もちろん王室を美化して画かないといけません。
彼が仕えたカルロス4世は自他ともに認めるおバカさんで、
政治は気の強い彼の妻が牛耳っていたらしい。

それでも宮廷画家ならちゃんと王様を美化して描く。このように:

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けどゴヤは真実を描きたがる。
ぽかんとした王様の顔に、ど真ん中でドヤ顔の王妃。

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長い物にゃ巻かれとけばいいのに、巻かれきれない感じ。

マドリード、1808年5月3日』から溢れる怒りに震えた


壁一面を覆う巨大な絵画。
ナポレオン軍に対して反乱した市民が虐殺される場面。
本当に、実物を見て初めて感じた、この絵画が持つ怒りのオーラ。

今まさに虐殺を肉眼で目撃しようとしているような、そんな臨場感がある。
 
もしスペインを訪れることがあったら必見の絵画だと思う。



ちなみに、ゴヤと当時のスペインに興味をもったなら、こちらの映画がおすすめ。


原題は『ゴヤの幽霊たち』。
黒い家の絵画がどのように生まれたか、
そこに描かれている幽霊のような人たちがどんな生涯を送ったのかを描いた作品なので、
原題の方がしっくりくる。